1つの団地再生ストーリー:

The First Chronicle by JJ

私がグリーンヒルを購入するまでの道のりは、決して平坦ではありませんでした。 あえて「リフォーム前提」の物件にこだわったのは、 自分だけの家を持ちたいと言う強い思いがあったのと 愛するネコと一緒に安全で快適に暮らせる、完全オリジナルの家を作ることが 私にとって絶対条件だったからです。

住み替えを決めた4つの理由

1. 管理組合活動で芽生えた「自分色に染める」野望 以前住んでいたマンションで、長年管理組合理事を務めました。その際、大規模修繕工事を実施しましたが、「擁壁をジョリパット加工してみてはどうか」「マンションのエンブレムを作ろう」といった、投票で決定した工程が、私にとって楽しく有意義なものでした。
この経験を通し、挨拶程度しか交わさなかった区分所有者が集い発生した連帯感と、共用部を大切にしようという共通意識は、何よりも代えがたいものでした。その頃から、次の住まいは大いに自分色に染めてみたいという野望がこみ上げてきました。

2. コロナ禍の不動産バブルと終の棲家への懸念
コロナ禍に発生した不動産バブルは、ここ入間市も例外ではありませんでした。2010年の購入時より高く売れるという確信があったことも、住み替えの背中を押しました。

また、山を切り開いて建てられたこの物件は、きつい坂が多く、「終の棲家」にはならないと感じるようになったのです。それらを勘案すると、フルリフォーム済みで高額な物件には全く興味がわかず、コンディションが悪くても、安く手に入れる方が得策だと考えるようになりました。

3. オヤジッチ君との出会いと「最期まで寄り添う義務」 知人から「ネコを保護したが、エイズ検査したら陽性だった。先住ネコが居るし、どうしよう」と、ボロボロでガリガリな写真付きで相談を受けました。結膜炎、口内炎、皮膚炎を患っており、既にエイズを発症しているのではないかと思わせる状態でした。
両親を看取ることができなかった私にとって、このネコと最期まで寄り添うことが私の義務のような気がして、それが引き取る最大の理由となり、オヤジッチ君との同居生活が始まりました。

4. オヤジッチ君のための環境と「渋い物件」との出会い オヤジッチ君の命は一か月もたないかもという私の推測は見事にハズレ、回復の一途を辿りました。「これなら寿命まで生きられる」という希望を抱かせるようになったのは、半年後くらいでしょうか。
しかし、以前のマンションは航空法で高さ制限がかかっているものの、最上階に位置しており、風をもろに受ける構造でした。敏感なネコにとって、微妙な揺れがストレスとなり症状を進行させるのではないか?という懸念が払拭できませんでした。
約1年をかけ、70の物件を見て回り、ついに巡り会ったのが、この渋くて「経年劣化著しい」物件です。誰もが目を背けるコンディションだったからこそ、格安で手に入れられ、自分色に染める野望と、オヤジッチ君の療養環境を同時に手に入れられたのです。

――しかし、ある悲しい出来事により佳境を迎えていたリフォームは止まり、未完成のまま。
これは、悲しみを乗り越え、愛する家族との夢を完成させるためにリスタートを切った、1つの団地再生ストーリー。

Web Console Akogare プロジェクト 発起人 :JJ

私の活動名はJJです。2010年、入間市に移り住み2021年、所有していたマンションを売却しました。同マンションのHPを作成し物件の魅力を最大限に公開した結果、市場に出て僅か2日で買い手が付くという予想外のスピードで決着しました。この事実は、情報公開とHPの力が、いかに資産価値に直結するかを証明しています。

予算1000万円の探求:リゾートマンションへの期待と失望

予想外の早さで決まった引き渡しまでの2か月間、私は「ローンを組まずに購入できる住まい」を求め溺愛するネコ、オヤジッチ君と暮らす日々を夢見て南は伊東、北は那須塩原へと探求の旅に出ました。Webデザイナーやコンサルタント業を掛け持ちする私にとって、働く場所に制限はなく採択で完結するため住む場所にも制限がありませんでした。 しかし、そこで直面したのはリゾートマンションの冷たい現実でした。ペットと暮らせる物件が見つからず、温泉設備の高額な権利金を知り、希望は失われていきました。 多くのリゾートマンションには温泉を引く設備がありましたが、権利者に多額のお金を払う必要があると知り、無駄足でした。
5万円で売られていたリゾートマンションは買っておけばよかったかなと今でも思う時があります。

本質的な価値:「最高の眺望と風通し」

リゾートマンションの多くは、最高の日当たりや眺望、風通しを追求して建設されています。これは、グリーンヒルが持つ、立地における最大の強みと共通していると感じました。 結局、希望の物件は見つからず、半年間が過ぎ去り、入間市内の賃貸物件で仮住まいをする中で、焦燥感に駆られました。予算が目減りする中、改めてポータルサイトを開いたとき、「入間市内の格安な団地」として、運命的に西武狭山グリーンヒルを発見したのです。



リフォーム計画(業者へ依頼)
リフォーム計画(DIY)

夢の住まい、そして断念したウォークスルークローゼット化

この物件を選んだのは、愛猫オヤジッチ君との新しい生活のためでした。日当たりと風通しの良さは、まさに求めていたリゾートマンションの価値そのものです。
購入後、リビングの壁紙を白とグレーの細いスタライプに決めたので統一感を持たすため室内は全てその配色とし、木部の塗装にこだわった、モダンで清潔感のあるデザインを計画しました。特に、古い団地にありがちな「カビ臭さ」の懸念を払拭するため、押入れ二つを繋げてウォークスルークローゼットとし、オヤジッチ君の動線も確保する予定でした。

しかし、最初の壁に直面します。団地の躯体(コンクリートの構造壁)を壊すことができないため、ウォークスルークローゼットの計画は断念せざるを得ませんでした。間取りの根本的な変更は叶いませんでしたが、既存の押入れをクローゼット化し、他の手段でオヤジッチ君の動線を確保することで、なんとか理想に近づけようとしました。


4階の壁と水漏れが突きつけた真実

計画の次の壁は、「エレベーター無しの5階建て・4階」という立地の問題でした。資材運搬の難しさから、多くの業者が、ありえない逃げ口上を連発し工事を断ってきたのです。仮住まいの賃貸契約の期限が迫る中、焦燥感に駆られてリフォームポータルサイト「ぬりかえ」で出会ったのが、遠藤設備でした。
「ぬりかえ」には無謀ともいえる希望予算を入力しましたが複数の業者が名乗りを挙げてくれました。その中でも遠藤設備は、切迫した私の状況を理解してくれて、熱心に耳を傾けてくれたのが印象的でした。人付き合いが長くなる傾向にある私にとってとても協力的だったのが、幾つかの業者の中で彼等を選ぶ大きな決め手となりました。当初考えていたキッチンと洗面台の改修、そして配管が絡むトイレのリフォームに着手。キッチンは問題なく施工できましたが、トイレで予期せぬ事態が発生します。
リフォーム直後に水漏れが二度発生したのです。原因は、施工ミスではなく、築年数を経た給水管の経年劣化によるものでした。M氏は、一切非がないにもかかわらず、階下の住居へ自ら謝罪に赴いてくれました。これは、「誰に非があるかにかかわらず、被害を受けた方がいる限り、誠実に対応し、不安を取り除くことこそがプロの責任である」という、遠藤設備の高い倫理観を示しています。
ほどなくして私も階下の方へ謝罪に行きましたが、とても理解のある方々で助かりました。まさか引越しの挨拶が謝罪になるとは思いませんでしたが。
この二度の水漏れは、「表面だけを新しくしても、団地の根幹は限界を迎えている」という、動かしがたい真実を私たちに突きつけました。

想定外の連続

ウォークスルークローゼットを諦め、ウォークインクローゼット化。塗装も終わり、オヤジッチ君の動線も代替案で確保し、LDKのリフォームが終わりに近づいた頃、全く予想外のトラブルに襲われました。
特注した1窓あたり12kgのカーテンを取り付けた瞬間、カーテンレールが半回転してしまいました。腐食した木枠がその重さに耐えられなかったのです。12kgもある特注品は、新たな活躍の場を模索することになりました。当初、カビ対策としてリビングに吸湿性の高いエコカラットを貼る予定でしたが、急遽、このカーテンを取り付けることを思いついたのです。
やがて、あるインテリアサイトから取材の申し入れがあり招いたところ、「カーテンをカーテンとして使わない方を初めて見ました」と驚かれました。ずっと気にかけていたカビ臭もなかった。
相談に乗っていていただいた当時の管理組合理事長エヌケンさんに感謝し、パイプ役となってくれたGH・おたすけ隊の代表にも感謝します。その恩には本HPを無料作成という形で報いたい。



団地再生への決意と物語の始まり

引越し前日に洗面台、キッチン、トイレのリフォームを終え、こだわりのLDKが完成しました。その後、和室の洋室化などに着手していた頃、少しずつ職が落ちてきたオヤジッチ君が深い眠りにつきました。かかりつけの動物病院で毎日点滴をしてもらう日々でしたが最期の夜、視力の衰えから匂いだけを頼りに私の元にきて抱っこをせがみました。少しずつ冷たくなっていく彼の体を抱きしめ「苦しみから解放されて良かったね」と囁きました。共同生活を始めて7年半。彼は推定13年の”人生”を全うしたのです。
彼の死後、まもなく2年を迎えますが、リフォームは未だ済んでいません。数年前に遭った交通事故の後遺症も年々深刻化し、左手の握力は9kgという状態もあり、心が追いつかず何も手に付かない日々が続きましたが、この深い悲しみと、目の前に突きつけられた団地の課題を、『団地全体の再生』という未来へのビジョンに結実させたいと強く願うようになりました。

老朽化が突きつける二つの深刻な課題

この団地が築52年を迎え、構造的な老朽化が進む中で、住民は二つの深刻な課題に直面しています

課題1:命の安全を脅かす救急搬送の遅延

エレベーターがない4・5階からの救急搬送は、一秒を争う事態であっても、消防車のはしごを使って行わなければなりません。この移送作業による遅延は、脳の疾病など緊急性を要する場合、住民の**「命の安全」を脅かす**深刻なリスクです。

課題2:生活を脅かす老朽化と管理費の増大

私のリフォームで発覚した水漏れは、団地の根幹である「老朽化」を突きつけました。今後も老朽化が進めば、次回の大規模修繕工事の費用は天井知らずに高騰し、いずれは管理費の値上げや修繕の遅延という形で、住民の生活を圧迫します。

AIとの対話が示した未来への道筋

心の準備ができていたはずなのに、悲しみで体がいうことをきかなかった私を、AIアシスタントとの対話が救ってくれました。
この対話を通じて、私は単なる個人のリフォームではなく、「団地全体の再生」という形で構造的な問題解決に挑む、新たな一歩を踏み出すことができました。 このページのタイトルを**「1つの団地再生ストーリー」としたのは、団地を守ってくれた人々へのささやかなプレゼントとし、『建て替え』という最終目標**を達成することで、団地の未来を確かなものにしたいという願いからです。

建て替えに向けたダブルスタンダードの必要性

以前は建物の取り壊し(建て替え)は区分所有者全員の賛成が必要でしたが、法改正により5分の4の賛成で行えるようになりました。道は開けているのです。
高騰する人件費や資材費の天井が見えない今、次回の大規模修繕工事の実施と、建て替え。この二つをダブルスタンダードで同時に考え、議論を進めていくことが、団地の資産価値を守り、住民の安全を確保するために、心から必要だと感じています。

2025年11月吉日 JJ 

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